唾液検査
唾液検査をご存知ですか?
これはみなさんの唾液を採り検査することにより、お口の中の虫歯菌の数や虫歯に対する抵抗がどのくらいなのかを調べていくものです。痛みは全くなく、時間も30分位で終わります。
1.ミュータンス菌の数を調べていきます。
虫歯の大きな原因となる菌がミュータンス菌です。このミュータンス菌の数を調べていきます。まずはガムを噛んで頂いて唾液を出してもらいます。
2.唾液緩衝能(かんしょうのう)を調べていきます。
採取した唾液を試験紙を使って、虫歯の原因であるミュータンス菌の数や唾液の量などを調べていきます。
この検査は、虫歯に対する抵抗力がどのくらいあるかを調べます。お口の中は通常pH6.0~7.0の中性状態ですが、食べ物がお口の中に入ると急激に酸性に傾き虫歯菌が活発に活動しやすい状態になります。
この酸性状態を中和しようとする働きが唾液にはあり、これを緩衝能といいます。
3.検査結果
この検査結果にみなさんの
食生活の状態
肉類中心の食事なのか
魚・野菜類中心の食事なのか
ダラダラといつまでも食べていないか
ハミガキの状態
時間はどのくらいしているか
回数はどのくらいしているか
フッ素製剤の使用状態
定期的に歯科医院にてフッ素を塗布しているか
フッ素入りの歯磨き剤を使用しているか
などを総合的に見て皆さんのお口の中が虫歯になりやすい状態なのかを判断していきます。 その結果、虫歯になりやすい環境と判定された方は、できるだけ早くお口の環境を変える努力をしましょう。歯科医院での早期治療と早期発見がとても大切になります。 今のところ問題がないと判定された方も定期的に歯科医院に行きチェックしてもらい長く今の状態が続くようにがんばりましょう。
メインテナンス
メンテナンスはどうするの?
治療が終了しました。さあ、これからメインテナンスにはいっていきます。「メインテナンス?」突然そういわれても、なかなかピンとこない方がほとんどだと思います。これから、歯科でのメインテナンスについて、専門的なことも含め、なるべくわかりやすく説明していきたいと思います。
治療が終わったはずなのに、どうして通院しないといけないの?
こなかったらどうなるの?
咬み合わせは、変化していきます
顎位(下顎の位置)は、治療が終了しても変化します。それに対応できるように咬合(咬み合わせ)も変化していきます。その変化の一つに咬耗(歯が自然に削れていくこと)があります。でも、補綴物(つめもの、かぶせもの)は、人工のものなので、天然歯と同じようには咬耗せず、変化に対応できません。だから、定期的に専門家による咬合調整(咬み合わせ調整)が必要なのです。もしも、そのままでいると、咬み合わせがくるってきて、歯の寿命が短くなったり顎関節に異常がでてきたりします。
歯周治療終了後の歯肉は、健康であっても歯周病にかかる前の歯肉とは性質が違います
一度歯周病によって破壊された付着(歯と歯肉が繊維でつながっている強い結合)は、元には戻りません。治療後は、上皮性の付着(歯と歯肉が接している状態)といって、はがれやすく、弱い結合になります。したがって、細菌に対する抵抗が弱く、いつ再発してもおかしくありません。綿密なプラークコントロールが必要なのです。しかし、どんなに丁寧に歯磨きをしていても、深いポケットの中や分岐部(歯根の又の部分)など、どうしてもプラークが残ってしまう部分があります。ほうっておくと、知らぬまに、歯周病が再発、進行します。だから定期的に専門家によるクリーニングを行う(メインテナンス)必要があるのです。
また、1度マスターしたプラークコントロールも時間がたつとついつい自己流になってきたり、おろそかになってきたりするので、歯周治療が終了しても専門家によるチェックと指導が重要です。
メンテナンスの大切さは、わかっていただけたでしょうか?
つまり、歯科におけるメインテナンスとは、歯周治療や、う蝕(虫歯)処置によって改善した歯周組織や硬組織の状態を、できるだけ長く機能、維持させる為の、必要不可欠な歯科治療の一環、といえます。近年、AAP(アメリカ歯周病学会)のコンセンサスによると、積極的治療の後に継続して行われる歯周病のメインテナンス療法は、SPT(supportive periodontal therapy)と呼ばれています。わかりやすく言えば、歯周治療や虫歯の治療が一通り終わり、病状が安定したと判定された時からはじまる、現状(口の中の健康)を維持するための定期的な治療であり、その目的は、
1.歯および歯周組織の健康を守ること
2.プラークコントロールを継続すること
の2つに集約できると思います。
それでは、当院で行っている、SPTを具体的に紹介していきたいと思います
当院でのSPTシステム
SPT来院時の診査
1.全身疾患の検査
2.う蝕診査(特に根面う蝕)楔状欠損
3.歯周組織の診査
1.プラークチェック
磨き残しや、炎症のある部位を調べます。
2.X-ray診査
歯周組織(歯を支える骨や歯根膜)の状態、縁下歯石(歯根についている歯石)の存在、インプラントの周囲の骨の状態など、肉眼だけでは分からない情報を得ることができます。
3.プロービング
歯周ポケットの深さ、歯肉の出血(炎症があれば出血します)などを知ることができます。
4.動揺度
歯の動き具合
4.補綴物の異常(脱離、破損)
5.咬み合わせのチェック
などを、詳しく調べます。
当院ではこれらのことを、前回来院時や、治療前の状況と比較し、患者さんにも説明しています。
SPT来院時の処置
1.新たに付着した歯石の除去
2.咬合調整
3.セルフケアの指導、強化
ブリッジ、インプラント、前歯部で歯肉の形が見えるところ、また、いつも磨き残してしまう苦手な部位などの、ブラッシング法のトレーニングを行います。
4.経過観察歯のチェック
5.リスクファクターに対する指導
6.PMTC
歯周病は、再発しやすい病気です。どんなに時間と費用を費やし、努力して成し遂げた治療結果も、メインテナンス(SPT)をおこたると、場合によってはたった数ヶ月でとりかえしのつかない状態までもどってしまうことがあります。治療以前の状態になる可能性さえ十分あります。
当院では、皆さんの口の中の健康管理を、責任を持ってサポートしていきます。治療が終わった皆さん、これからSPTがはじまります。私たちと一緒に楽しく続けていきましょう。
ドライマウス
ドライマウスとは?
[唾液がネバネバする]、[口の中が乾燥しやすい]、[食べ物を飲み込みにくい]
最近このようなことは気になりませんか?それはもしかすると、口腔乾燥症かもしれません
唾液が口の中を健康に保つ上で、とても大切な働きをしていることをご存知ですか?食事をしたり、会話をするために大きな役割を果たし、抗菌作用を持っています。この大切な唾液が出にくくなり、口の中が高度に乾燥している状態を口腔乾燥症といいます。
口腔乾燥症には主に次のような症状があります。
- 会話がしにくい
- 食べ物を飲み込みにくい
- 食べ物の味がわかりにくい
- 虫歯の増加、歯周病の悪化
- 唾液がネバネバする
- 入れ歯が合わない
原因は薬の副作用や生活習慣、全身状態なども関係してきます。
口腔乾燥症は薬の副作用をはじめとして、唾液の粘性、口呼吸、ストレス、飲水行動制限、乾燥した室内環境などによって生じます。最も起こりやすいのは薬の副作用によるもので降圧剤、利尿剤、向精神薬などが原因薬剤となります。
検査方法
口腔乾燥に対する検査は主として、刺激唾液と安静時唾液に関する検査があります。
刺激唾液の測定
サクソンテスト
乾燥したガーゼを2分間咀嚼して吸湿した唾液量を測定。2kg以下は陽性。
ガム法
チューイングガムを10分間噛み、分泌された唾液が10ml以下であれば陽性、10~7ml軽度、7~3mlは中等度、3ml以下は高度。
安静時唾液の測定
吐唾法
椅子などにに座って10分間、紙コップなどの容器に吐き出す。1ml/分間以上は唾液減少。
ワッテ法
舌下部にロールワッテを置き、30秒後あるいは60秒後に取り出して、吸湿された唾液量を測定。健常者の平均値は約0.2g/30秒、0.4/60秒であり、0.1/30秒以下0.2/60秒以下は要注意。
対症療法
口腔乾燥に関する症状の軽減を目的にします。
粘膜の痛み・違和感への対応
舌や粘膜に痛みがある場合、保湿が必要です。乾燥した粘膜には湿潤剤配合の洗口液である「オーラルウェット」を用います。うがいよりもスプレー容器などに移して噴霧する方法、スポンジブラシによる塗布が効果的です。
十分な清掃を
粘膜が乾燥すると、唾液の粘性が高くなり食べ物のカスが口の中に留まりやすくなります。十分な清掃ができないと、虫歯の増加、歯周病の悪化をまねくので、歯間ブラシ、フロスなど補助具を用いることも必要です。
原因療法
薬剤の副作用の除去
降圧剤や利尿効果のある薬剤、抗精神薬、抗うつ剤など抗分泌作用のある薬剤などを服用している場合、副作用の少ない薬剤への変更や薬剤量の減量が必要です。
水分補給
脱水などによる急性の口腔乾燥あるいは唾液分泌低下では、水分補給が必要です。
口呼吸への対応
口呼吸の患者では、室内環境も大きく影響するので、温度調節や冷暖房の効きすぎに注意が必要です。
嗜好品への対応
口腔乾燥の患者では、キャンディー、ガム、清涼飲料水などを多用している場合が多く、虫歯や歯周炎と関連してきます。キャンディーはとける際に粘膜を傷つけ、疼痛を生じることがあるので、特に注意が必要です。
口の中を健康に保つ上で唾液は重要であり、唾液分泌量低下はさまざまな障害を引き起こします。口腔乾燥の原因が生活習慣や全身状態等と関連している場合は 治癒まで患者によって大きく異なりますが、約2週間~3ヶ月必要となります。口の中が渇く、ネバつくなどの症状がある場合、安易に考えず、まずは専門家に よる診断を受けることが必要です。
レーザー治療とは?
レーザーの種類
ソフトレーザー
半導体レーザー(GaALAs、GaAs)
ハードレーザー
気体レーザー(CO2レーザー)
固体レーザー(YAGレーザー)
当院では、CO2レーザーを使用しています
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)の特徴
水分に対してCO2レーザーの吸収がよいため、組織が瞬間的に高温となり、生体を蒸散させます。したがって、蒸散された部分以外の損傷は極めて少なく、止血効果とともに術後疼痛も軽減されます。
細胞を活性させ、治癒を促進します。
殺菌作用があり、感染を防ぎます。
当院でのレーザー治療
口内炎:痛みがやわらぎ、治癒を促進します。
歯肉の着色(メラニン沈着):色素を蒸散させ、歯肉の色がきれいになります。
インプラント手術や歯周外科後の歯肉閉鎖:切開面を閉鎖し、止血効果もあり、縫合が少なくてすみます。したがって、治癒が促進され、痛みも軽減されます。
顎関節症:口が開かない、顎が痛い、カクカクする、などの症状が軽減します。
歯周治療への応用
マウスガード
マウスガードとは?
ボクシングや、ラグビーの選手は、マウスガードの使用が義務づけられています。マウスガードは、スポーツ外傷の予防のために口の中に入れる、マウスピースのようなものです。スポーツ時に、歯が破折したり、脱臼したり、あごの骨を骨折したり、口唇を切ったりするのを防ぎます。
材料をお湯につけて柔らかくし、自分でマウスガードを作る方法が一般的ですが、噛み癖があるので、正しい位置でマウスガードを作ることができません。歯科医院で、正しいかみ合わせをトレースしたマウスガードを作ってもらうことをおすすめします。顎をしっかり固定して筋肉を安定させることにより、スポーツ外傷を防ぐだけでなく、集中力の向上、運動能力の向上も期待できます。
マウスガードを効果的に使用するためには、安定的な調整が大切です。顎の位置や、顎を支える筋肉は、日々変化していきますので、マウスガードもそれに対応させなければなりません。私達は、スポーツが大好きな皆さんを、少しでもサポートしていければと考えています。